介護耳より情報2023年10月号(Vol.169)

編集協力:シルバー産業新聞社

24年改定論議
通所介護「大規模減算」や「入浴介助加算」
見直し要望相次ぐ

 次期介護報酬改定を検討する国の社会保障審議会介護給付費分科会は7月10日、通所系、訪問系等サービスの審議を行った。通所系サービスでは利用人数に応じて規模が拡大すると報酬が下がる現行の仕組みについて委員から異論が出された。全国老人保健施設協会会長の東憲太郎委員は「大規模ほど専門職の配置が充実し、重度者の受入れを積極的に行っている事業所もある。一律の減算はなくすべき」と主張。
 また、前21年報酬改定で見直された入浴介助加算は、1日50単位から40単位に減算、代わりに医師等が居宅で浴室環境や入浴動作を評価し個別入浴計画を作成・実施した場合の上位加算(Ⅱ、55単位)を新設した。これに対して、日本医師会常任理事の江澤和彦委員は「事業所においても個浴支援には相応のスキルが必要。研修体制を充実させなければならない」と指摘した。ほかにも「通所介護では特殊浴槽を導入し、中重度者の入浴支援を果たしているところも多い」(民間介護事業所推進委員会代表の稲葉雅之委員)など、加算Ⅰの重要性を訴え、報酬の再考を求める声が複数上がった。
 今後の審議は全サービスの1巡目を終えた後、諸団体のヒアリングを経て、10月頃から2巡目に入り、年末に厚労相・財務相の大臣折衝を経て集約する運び。2割負担対象者の拡大等の負担増の結論も出される。      

 通所介護「要介護3、7~8時間未満」の報酬は、スケールメリットの観点から、通常規模896単位だが、大規模型Ⅰは4.4%減の857単位、同Ⅱでは7.8%減の826単位の現状。今回の通所系の「大規模減算」の見直し論議の背景に、今後の高齢者の急増と生産年齢人口の急減を踏まえて、国が進める介護事業の協働化・大規模化の推進がある。

外国人介護人材
訪問系での業務拡大検討

 国の「外国人介護人材の業務の在り方検討会」初会合が7月24日、開催された。論点に、▽現行制度では認められていない訪問系サービスなどへの業務拡大▽技能実習生を受け入れる事業所の開設後3年以上の要件▽外国人の人員配置基準を論点にあげ、現行の規制を緩和するかどうかの論議が始まった。
 現在、外国人介護人材は①EPA(経済連携協定)②技能実習「介護」③特定技能1号④在留資格「介護」の4つの制度があり、それぞれに入国の目的、滞在期間、従事できるサービスなどの要件が定められている。
 技能実習と特定技能では訪問系サービスに従事できない。EPAでは介護福祉士の資格取得後に一定の条件を満たせば訪問系サービスに従事できる。介護福祉士の資格を有している、在留資格「介護」は制限がないなど、外国人材の受入れ制度によって訪問系サービスができるかどうかが異なる。介護現場からは外国人介護人材の業務拡大を望む意見があり、厚労省は規制緩和を前提ではなく、実態を踏まえた検討を進めていく方向。

 現在の在留者数は、EPA介護福祉士・候補者3,213人(うち介護福祉士の資格取得者1,069人)、技能実習1万5,011人、特定技能1万9,516人、在留資格「介護」6,284人。コロナ禍で停滞していた外国人労働者の送り出しが戻ってきている。

人材紹介業者「就職祝い金」
適正化へ集中指導実施

 国は医療・介護・保育の3分野の職業紹介を行う有料職業紹介事業者に対する監督指導を実施する。21年度には、3分野の就業者全体の約8%を占める5万7000件の常用就職の実績がある。支払われた手数料は約240億円で、1件当たり平均42万円になり、職業紹介手数料が高いことや就業してすぐ辞めるなどの課題が指摘されている。
 悪質な職業紹介事業所を排除するために、現在、紹介事業所に対して、手数料等の情報開示義務や、すぐ退職した場合の手数料返戻の推奨、就職して2年間の転職勧奨の禁止、就職お祝い金の禁止が定められており、国は今年度内に集中的に監督指導を行う。今後、介護等の分野の紹介手数料の平均値や離職率について地域や職種ごとに公表するほか、適切な職業紹介事業者を選択できるよう契約時の留意点をまとめたリーフレットの作成や、離職状況の公表が不十分な紹介事業所に離職の追跡調査を徹底する。

 国は、厚労省職業紹介優良事業者認定制度(介護分野21社認定、カバー率4割程度)の認定基準について、就職して6カ月以内に離職してしまった場合に紹介手数料の返還を行うことも認定基準の中に入れることを検討する。6月の政府「骨太の方針」において、「医療介護分野における職業紹介について、関係機関が連携して、公的な職業紹介(無料職業紹介を行うハローワーク)の機能の強化に取り組むとともに、有料職業紹介事業の適正化に向けた指導監督や事例の周知を行う」とされた。

22年の就労人口 医療・福祉900万人
5年前から84万人増加 全就労者の13.8%

 「2022年就業構造基本調査」(総務省)の結果が7月21日発表された。医療・福祉は900万人で、全就労者の13.8%を占め、5年前の17年調査の816万人(12.7%)より84万人の増加となった。高齢化による医療・福祉ニーズの急増を受けてこの分野の就労者が増えている。
 医療・福祉分野900万人の就労者を男女別でみると、男は228万人(男性就労者の6.4%)、女は672万人(22.8%)で、男女比は男25%、女75%となり、女性の割合が高い職域になっている。

育児や介護をしている者の就業状態
 育児をしている者は965万人(5年前より147万人減)、そのうち就労者は821万人(同60万人減)となった。しかし、育児をする者のうち就労者の割合は、5年前の79.3%から5.9ポイント増えて85.2%になっている。
 15歳以上で介護をしている者は629万人。このうち就労者は365万人(58.0%)。過去10年間の推移をみると、介護している者は計71万人増加し、介護している者のうち就労者は計73万人増えた。
 全体をみると、22年10月1日現在の就労者は6,706万人(男3,671万人、女3,035万人)、無就労者は4,314万人(男1,643万人、女2,671万人)で、5年前に比べて就労者は85万人増加(男-37万人、女性122万人)になった。

 医療・福祉分野の就労者の割合(平均13.8%)が高いのは、都道府県別にみると、鹿児島県19.1%、長崎県18.8%、島根県18.8%、高知県18.2%、熊本県18.2%などで、これらの地域では医療・福祉が地域経済の柱になっている。比較的割合が低いのは、東京都11.0%、千葉県11.7%、栃木県11.8%、愛知県11.9%などで、働き場所が多いことが考えられる。

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