介護耳より情報2022年12月号(Vol.159)

編集協力:シルバー産業新聞社

2021年度介護給付費実態統計
介護費過去最多11兆円 利用者638万人

厚生労働省が9月21日に発表した2021年度介護給付費等実態統計(21年5月~22年4 月審査分)によると、1年間に一度でも介護保険サービスを利用した人は638万7,000人だった。前年度に比べ16万2,700人(2.6%)増えた。うち介護サービスは546万8,700人(前年度比+14万700人、+2.6%)、介護予防サービスが114万4,300人(同+4万4,800人、+4.1%)だった。
介護サービス11兆円超
保険給付額、公費負担額および利用者負担額の合計額は、11兆291億3,100万円で、前年度から2.3%増加。
介護サービスは10兆7,494億400万円(前年度比+2.3%)で、うち居宅サービスは4兆6,094億8,200万円(同+2.6%)だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用者が減り、制度創設以降初めて減少に転じた通所介護は、前年より51億7,600万円減の1兆2,799億4,300万円となった。
居宅サービス受給者3 年連続400 万人超
訪問介護は前年度比5万2,900人(3.6%)増の153万200人だったが、通所介護はコロナ禍の影響で、同1万2,200人(0.8%)増の158万4,800人に留まった。居宅サービスの利用者は13万8,800人(3.4%)増の420万1,600人。

受給者1 人当たり費用額をみると、22年4月審査分で17万2,800円と、前年4月審査分と比べて2,100円(▲1.2%)減少した。介護サービスは19万9,600円(▲1.1%)で、介護予防サービスが2万7,800円(▲2.1%)。コロナ禍2年目、提供控え、利用控えの影響が続いている。

21年度介護労働実態調査
介護職の所定内賃金微増も、賞与3%減

介護労働安定センターは先ごろ、「2021年度介護労働実態調査」の結果を公表した。
所定内賃金微増24.4 万円
介護労働者の所定内賃金(無期雇用職員、月給の者)は、平均24万4,969円(前年24万3,135円)で、1,834円(0.8%)増加した。賞与を支給された一般労働者は72.8%で、その平均賞与額は60万5,212円(同62万6,094円)で2万882円(▲3.3%)減少した。
20年の介護労働者全体の1 年間の年収(月給の者、勤続年数2年以上)の平均額は、365万9,292円(同364万4,880円)で、0.4%増加した。職種別では、看護職員が427万7,122円(前年比1.0%増)で最も高く、PT・OT・ST 等が418万3,897円(同2.1%増)、ケアマネジャーが391万2,746円(同0.7%増)だった。
また、サービス提供責任者は389万9,562円(同3.7%増)、生活相談員が382万3,607円(同0.4%減)、管理栄養士・栄養士が366万250円(同2.9%減)、介護職員が345万7,919円(同0.4%増)、訪問介護員が324万3,882円(同0.3%減)だった。

介護職の賃金が処遇改善加算の導入で引上げられてきたが、それ以上に介護職員不足が深刻さを増しており、10月1日から臨時の介護報酬改定を行い、「介護職員等ベースアップ等支援加算」(介護職員の給与を3%引上げ=月額平均9,000円相当)が創設された。

100歳以上9万人超 10年で1.8倍に
新100歳は4.5万人 最高齢は115歳

厚生労働省は9月16日、100歳以上の高齢者数(同月15日現在)を9万526人と発表、過去最多を更新した。
100歳以上は前年より4,016人多く、男性は1万365人(前年比+305人)で全体の11.4%。
女性は8万161人(同+3,711人)で88.6%を占めた。100歳以上の人数は10年前(5万1,376人)の1.76倍にあたる。
今年度中に100歳になる人は、前年度より1,508人増えて4万5,141人で、過去最多。男性が6,219人、女性が3万8,922人で、女性が86.2%を占めた。
国内最高齢は、大阪府柏原市在住の巽フサさんで、1903(明治36)年4月25日生まれの115歳。
男性は広島県神石高原町在住の中村茂さんで、1911(明治44)年1月11日生まれの111歳。

人口10万人あたりの100歳以上の人数は、全戸平均で72.13人。100人あたり0.72人。
長寿を祝い、社会への貢献を感謝して首相から送られる銀杯は2016年度から銀メッキになった。

21年度医療費44.2兆円 コロナ前まで回復
後期高齢者の1人医療費は減少

厚生労働省は9月16日に概算医療費を公表、2021年度は前年比2.0兆円(4.6%)増の44.2兆円となった。新型コロナ感染拡大で大幅に減少した20年度から戻した。コロナ前の19年度(43.6兆円)からは1.4%増で、19~21年度の伸びを1年換算すると0.7%の増加となる。
診療種類別では入院(医科)が17.6兆円で前々年比0.3%の減少。入院日数の短縮化、コロナ患者受入れ用の空床確保などが要因の一つと考えられる。入院外(医科)、歯科、調剤はいずれも増加した。
また、医科診療所の医療費は8.9兆円(前々年比1.7%増)。科目別では小児科が10.6%増で最も伸びが大きく、医科診療所全体に占める割合も19年度3.9%から21年度4.3%へと増加している。

21年度の1人あたり医療費は35.2 万円で前々年比2.0%増。このうち75歳以上の後期高齢者は93.9万円で同1.4%減だった。減少が続く受診延日数は前々年比▲5.5%となった。

介護保険「2割以上負担」は8.8%~20年度

厚生労働省は8月31日、2020年度の介護保険事業状況報告を発表した。
それによると、15年8月から本人の合計所得が280万円以上などの人に適用された自己負担「2割」の対象者は21年3月末現在33.6万人で認定者全体の4.94%だった。
18年8月から本人の合計所得が340 万円以上などの人に適用された自己負担「3割」の対象者は26.4万人で全体の3.89%。自己負担「2割以上(2割+3割)」の対象者は計60.2 万人(8.83%)だった。

10月1日から75歳以上の後期高齢者医療窓口負担に、一定以上の所得のある人(課税所得が28万円以上で、単身世帯は200万円以上、複数世帯は320万円以上、被保険者全体の約20%)に2割負担が導入された。現役なみ所得(課税所得等145万円以上、被保険者全体の約5%)は3割負担。2割負担+3割負担は被保険者の25%になる。ただし、経過措置として25年9月30日までの間は、1カ月の負担増加額は3,000円上限となる。

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