介護耳より情報2022年11月号(Vol.158)

編集協力:シルバー産業新聞社

「ケアプランデータ連携システム」23年 2月試行
4月本格実施に

厚労省は9月6日、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所で毎月やりとりされているケアプラン計画書・利用票(予定・実績)について、来年2月から国保連中央会の「ケアプランデータ連携システム」を用いてパイロット運用を実施すると発表した。このデータ送受信によって給付管理業務等の効率化とコスト削減が図られる。
国は人件費や通信費などの削減により、1事業所(居宅支援、介護サービス合わせて)年間約81万円のコスト削減が期待されると試算した。
8月12日には、ケアプラン標準様式を示し、ソフトごとでデータ形式などの違いを統一することにした。ケアプラン様式の標準化とともに、今回、入退院時情報連携標準仕様と訪問看護計画等標準仕様の2つの標準仕様も公開し、専門職間で共有する基本情報や入退院時、訪問看護計画書等の情報データ項目が示されている。

国の「ケアプランデータ連携システム」が運用されると、ケアマネ事業所と介護サービス事業所間のケアプランのやり取りが一気に効率化する。
さらに請求業務にソフトが連携すると効率性は一段と増す。期待通り進めば、居宅介護支援事業所、介護サービス事業所双方にとってDX化の効果が実感できるようになり、介護保険分野の生産性向上へ大きな一歩が踏み出される。

日本人人口 1億2,322万人 13年連続減少 出生数 81.2万人 高齢化率 29.0%

総務省は、住民基本台帳に基づく22年1月1日の人口動態を発表。国内の日本人人口は1億2,322万人で、減少率は0.5 %(61.9万人)となり減少率、下げ幅とも1968年の調査開始以来最大になった。出生率は前年比3万1,285人(3.71%)減の81.2万人、死亡数は6.7万人(4.93%)増の144.1万人だった。一方、高齢者数は0.43%増の3,573.5万人となり、高齢化率29.0%になった。ちなみに高齢化率の最も高い市は北海道夕張市の53.50%、町村では群馬県南牧村の66.71%。

15~64歳までの生産年齢人口は7,269万人(58.99%)で、全人口の6割を割っている。高齢者人口は団塊ジュニアが高齢期を迎える2040年頃がピークと予測。今後、ICT活用による社会全体の生産性向上や効率化の進展とともに、政府の全世代型社会保障会議などでは育児や教育に注力し、若い世代の人口増をめざしている。

24年改正論議 特養の入所基準見直しを検討
背景に地方の待機者減少

社会保障審議会介護保険部会は8月25日に、特別養護老人ホームの入所基準の見直しを論点に上げた。2015年度の法改正で、特養の入所者は原則要介護3以上、要介護1、2は認知症、知的・精神障がい、虐待、単身世帯などにより地域の介護サービス供給困難などのやむを得ない場合(「特例入所」)などに限ってきた。その結果、地方などにおいては待機者減少や空きベッドなどが発生している。
全国老人福祉施設協議会(平石朗会長)は、特例入所要件の拡充を要望。「単身世帯でも特養入所要件に該当しないために行き場のない人への対応や、特例入所の対象とならない要介護1、2の認知症高齢者でも認知症自立度Ⅲ以上は要介護3以上に準じた通常の入所要件の対象者とすべき」などと主張する。

背景のひとつに、サービス付き高齢者向け住宅の動向がある。医療提供体制の弱い特養に対して、医療法人などが運営するサ高住などが利用者に対して安心感が高く利用が進む。また新設の特養では、団塊世代の受け入れを想定して、多床室に比べて利用料が高い個室ユニットケアが推進されているという背景がある。

2022年度 高齢社会白書 介護の状況

2019年に、高齢者が要介護状態になった原因を見ると、「認知症」が18.1%で最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」15.0%、「高齢による衰弱」13.3%「骨折・転倒」が13.0%などとなっている。また男女別に見ると、男性は「脳血管疾患(脳卒中)」が14.5%、女性は「認知症」が19.9%でそれぞれ最も多い(グラフ)。

22年度のケアマネージャー研修カリキュラムの見直しにより、要介護要因にそったケアマネジメントの研修が実施される。

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