介護耳より情報2022年7月号(Vol.154)

編集協力:シルバー産業新聞社

処方箋にもとづく調剤業務 非薬剤師も可能になって3年

2019年4月2日、厚労省は通知「調剤業務のあり方について」を出し、処方箋にもとづく調剤業務について、軟膏や水剤、散剤等の直接計量し混合する医薬品を除いて、包装された医薬品を薬棚から取り出す作業や一包化については、薬剤師以外の者が行うことを認めた。この通知によって、調剤業務は非薬剤師が実施できる「対物業務」に位置付けられ、薬剤師は薬剤師以外の者の業務の監査とともに、医師への問い合わせ(疑義照会)や患者への服薬指導、薬歴管理などの「対人業務」に集中すべきとされた。
調剤が対物業務とされたことから、調剤ロボットを活用した調剤も実施されるようになった。調剤ロボットは、薬剤パッケージのバーコード管理によって薬剤を認識し、処方箋の記載に沿った薬剤のピッピングの補助作業を行うため、調剤の人員ミスが起きにくいメリットがあるとされる。

近年、調剤の診療報酬は改定ごとに抑制されるなかで、22年4月診療報酬改定では、地域医療に貢献した調剤業務を評価する「地域支援体制加算」が引き上げられた。
介護保険においても薬剤師の居宅療養管理指導が伸展する。そうした中、政府の規制緩和推進会議では、薬剤師不足に対処するため、薬剤師1人1日上限40枚の処方箋枚数の見直し論議が始まっている。

75歳以上 医療保険料 6,472円 1.8%増

厚労省は、75歳以上の約1,800万人が加入する後期高齢者医療制度について、今年4月から2年間の保険料見込み額を発表。全国平均で1人あたり月6,472円となり、20~21年度に比べ114円(1.8%)増となった。 年額で、7万7,663円(1369円増)。40都道府県で上がり、7県で下がった。平均保険料の最高は東京都の月8,737円(377円増)、最低は秋田県の4,097円(122円増)。東京都の75歳以上医療保険料は秋田県の2倍を超える。
後期高齢者医療制度にかかる費用は、患者負担を除いて、75歳以上の後期高齢者の保険料(1割)、現役世代(国民健康保険・被用者保険)(約4割)と税金(約5割)でまかなわれている。
今年10月から、75歳以上高齢者の医療保険の患者負担(現在、原則1割負担、現役並み所得者は3割負担)に2割負担が導入される。
年金収入200万円以上単身者の場合(複数世帯は320万円以上)で、かつ課税所得28万円以上。対象者数は、被保険者1,815万人の20%にあたる約370万人。現在3割負担の「課税所得145万円以上」は、これまで通り。

介護保険と後期医療保険の2割負担対象者は、「年金収入+その他の合計所得」が単身者の場合で、介護保険は280万円以上、後期医療保険は200万円以上、と異なる。
そのため、2割負担対象者は、介護保険は全体の6%だが、後期医療保険は20%になる。後期医療制度の改正を受けて、介護保険においても2割負担対象者の拡大が次期改定テーマになる可能性がある。

介護サービス情報公表 更新遅れる自治体も

行政の総点検にあたる政府の20年度「行政事業レビュー」で、介護サービス情報公表制度の情報更新が行われていない自治体があるとの指摘を受けて、厚労省は3月に自治体別の更新状況を公表した。今年2月10日時点で、20年度以降の事業所情報が登録されている割合は87.6%だったが、19年度以前の情報が7割を占める自治体があるなど、自治体によって更新作業にばらつきが大きいことがわかった。
介護サービスの情報公表制度は、利用者が適切に事業者を選択できるように、また事業者の取組が適切に評価されることを目的に06年度にスタートした。毎年秋に都道府県や政令指定都市から示される様式に基づいて各事業所が事業状況を報告し、これを都道府県が公表する。年間100万円以上の介護報酬収入がある指定事業所が対象(みなし指定は対象外)で、対象事業所は報告義務を負っている。
厚労省は自治体に対して最新情報の公表を求めて、今後は「介護保険事業費補助金の内示額を調整する際などに、情報公表の状況を考慮する」考えを示している。

18年度に愛知県から公表業務の事業移譲を受けた名古屋市の例では、市内の3400事業所(20年度)の98.7%にあたる3336事業所が情報公開を実施している。
市は、公表率100%をめざし未公表事業所への公表の督促をより積極的に行う方針。
一方で、「介護事業所の選択ツールとして、詳細情報が取得できる情報公表の仕組みのほかに、地域の介護サービス事業所ガイドブックの活用や、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどとの相談など、使い分けてほしい」と話している。

指導監査に新指針策定
事業所の自主点検前提に確認事項・文書のみチェック

国は3月31日、介護保険事業所の指導指針・監査指針を改定した。新指針はオンラインでの指導の実施や、サービスごとに確認項目や確認文書を限定して行政と事業所双方の業務効率の引上げを行うとともに、行政にはマニュアルに基づく指導の徹底を求めている。
これまでの「実地指導」は、今回オンライン指導を可能にしたことから、名称を「運営指導」に変更した。運営指導は、年1回以上全事業所を対象に実施する集団指導と、介護サービスの実施状況や最適基準、報酬請求について、少なくとも指定期間内に1回以上(居住系、地域密着型、施設サービスは3年に1回以上が望ましい)、原則実地で行う個別の運営指導とがある。
新指針では、重要と考えられる「確認項目」と「確認文書」を明示して、各事業所に対しても自己点検を求める。特段の事情がない限り、行政も指導時に確認事項以外の項目や確認文書以外の文書は事業所に確認や提出を求めないとした。
確認項目・事項は、「介護保険施設等運営指導マニュアル」(介護保険最新情報1062号)で、サービスごとの自己点検・要件シートとともに明記されている。

運営指導の留意点が示された。▽提出する資料は1部とし自治体がすでに保管している文書の再提出は求めない▽ディスプレー上で内容確認できれば別途印刷物の提出は不要▽利用者等の記録確認は原則3人以内。ただし居宅介護支援はケアマネ1人あたり原則1~2人▽事務受託法人等の活用もできるーなど、負担軽減が図られている。

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