介護耳より情報2022年5月号(Vol.152)

編集協力:シルバー産業新聞社

2022年5月2日

10月から介護報酬対応
「介護職員等ベースアップ等支援加算」の名称で

社会保障審議会介護給付費分科会は2月28日、「介護職員月額9000円(収入の月3%相当)賃上げ」について、今年2月~9月までの全額国費による「介護職員処遇改善支援補助金」に続いて、10月に臨時の介護報酬改定を行って継続することを正式に決め、加算の名称を「介護職員等ベースアップ等支援加算」とした。支援補助金と同様に、算定した加算額の3分の2は、介護職員等の「基本給」又は「決まって毎月支払われる手当」に充てる必要がある。対象者は、柔軟な運用を認め、介護職員とともに事業所の判断により他の職員の処遇改善の収入に充てることができる。介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかの取得が算定要件。 そのため、処遇改善加算の設定がない訪問看護や訪問リハビリテーション、福祉用具貸与、居宅介護支援などは対象外となる。
改定率はプラス1.13%となり、40~64歳の介護保険料は平均で月70円程度増える見込み。申請は、8月から受け付け、10月分から毎月支払(実際の支払は12月から)となる。 申請には賃金改善計画書を、賃金改善期間後には処遇改善実績報告書の提出がそれぞれ必要。
ともに職員個々人の賃金改善額の記載は求めない。

「介護職員月額9000円賃上げ」は、実際にはサービスごとに定められた交付率(介護職員処遇改善支援補助金)か、加算率(介護職員等ベースアップ等支援加算)によって事業所に支払われる。審議会では、処遇改善の必要性は認めながらも、「加算対応は利用者負担にもつながる点を十分考慮すべき」(認知症の人と家族の会)、「賃金支払方式は本来、事業所・施設の裁量に委ねられるべき」(日本医師会)など意見があった。

福祉用具貸与・販売種目の
あり方検討会始まる

2月17日、厚労省は21年介護報酬改定で「今後の課題」とされた福祉用具貸与・販売種目のあり方や福祉用具の安全な利用促進について議論する検討会を開催した。検討結果は、24年改定に向けた介護保険部会に引き継がれる。
今回示された論点は、①貸与と販売の種目の整理、貸与利用者のケアマネジメント②「貸与等での販売制度導入」を含めた適正化③貸与等での安全な利用の促進――の3点。
これまで財務省財政制度等審議会等において、歩行補助つえ・歩行器・手すり等の貸与から販売への移行、貸与のみを位置づけるケアプランの報酬引き下げなどが提起されてきた。
初回の検討会では、「用具を活用していること自体、自立支援に有効。販売へ移行した場合、ケアマネジメントやモニタリングが行われず、貸与と同等の効果が得られるのか」(渡邉愼一委員=横浜市総合リハビリテーションセンター副センター長)など、委員からは貸与から販売への移行について慎重な意見が相次いだ。
次回、3月31日予定。

貸与のみのケアプランである「単品ケアプラン」について、検討会での意見は、「感染予防で訪問通所サービスを一時中止したり、介護予防・重度化防止の結果、貸与のみになったケースもある。ケアマネジメントによる介入は不可欠」(濱田和則委員=日本介護支援専門員協会副会長)など、論点はケアマネジメントにも及んでいる。計3、4回の検討を経て、今夏にも議論の集約を行う見込み。

1件介護費 直近2年間伸び率

19年から21年の2年間(各4~11月)で、国保連中央会データを用いて、1件あたりの介護費用の増減を調べた。サービスによって、最も伸び率が高かった特定施設入居者生活介護14.4%増から、23年度末廃止予定の介護療養型医療施設の5.1%減まで、増減率に20ポイント近い開きがあることが分かった(表)。 在宅サービスでは、訪問介護(7万6,736円)10.4%増、地域密着デイ(8万1,893円、小規模デイ)9.6%増、短期入所(12万8,345円)4.1%増、通所介護(9万249円)3.6%増、認知症デイ(12万9,164円)9.6%増、福祉用具貸与(1万2,828円)2.8%、訪問入浴介護(6万9,430円)2.0%増だった。
在宅の医療系は、看多機(28万8,122円)5.4%増、訪問リハ(3万8,245円)4.9%増、居宅療養管理指導(8,029円)3.5%増、通所リハ(6万7,038円)3.1%増、訪問看護(4万5,412円)2.5%増だった。
施設サービスは、地域密着型特養(37万6,586円)4.6%増、特養(34万7,601円)4.8%増、老健(34万6,531円)2.5%増、介護医療院(43万1,248円)1.0%減、介護療養病床(38万7,450円)5.1%減。介護医療院は21年改定で「移行定着支援加算」が廃止になった影響が大きい。

1件当たり介護費の増減は、介護報酬改定や1月の平均利用回数などによって決まる。
ただ、この期間については、新型コロナウイルスによる利用控えやサービス控えと、19年10月の消費増税に基づく「介護職員等特例処遇改善加算」創設、20年度以降、通所介護などは新型コロナ対応への特例措置の実施が介護費に影響している。

陽性者ら対応の介護事業所職員への手当

厚労省は3月4日、例えば新型コロナウイルス陽性者や濃厚接触者に対応している訪問介護事業所が、ヘルパーに対して「訪問介護1回分の給料と同額程度」の特別手当を支払う場合、全額補助対象として良いとする通知を出した。
各介護サービス事業所・施設等や職員の事情に応じて1人1日1000円から3000円などを支払う場合も同様。21年4月まで遡って申請することができる。
21年度、陽性者や濃厚接触者に対応する介護事業所に対する「掛かり増し費用」への対処は、地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)のメニューの一つとして実施されている。事業所は、実施主体の都道府県に補助申請を行う。割増賃金や手当の補助額については「社会通念上、適当として認められるもの」とされてきたが、今回その目安が示された。

コロナ初年の20年度は、「掛かり増し費用」の対象事業所はコロナ感染症の発生の有無を問わなかったが、21年度については陽性者や濃厚接触者が発生した事業所に限定された。
これまで割増賃金や手当の補助額については、「社会通念上、適当として認められるもの」とし、目安等の表記がなく、使いにくい制度になっていた。国会での指摘に対して後藤茂之厚労大臣から「訪問介護1回分の給料と同額程度は社会通念上、適当といえる」などの答弁が行われていた。

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