介護耳より情報2022年2月号(Vol.149)

編集協力:シルバー産業新聞社

LIFEの基本加算
「科学的介護推進体制加算」算定 
特養7割・デイ5割 WAM調査

福祉医療機構(WAM)は11月17日、21年介護報酬改定の加算取得状況を公表。21年改定の中心テーマであるLIFE(科学的介護情報システム)の基本加算である「科学的介護推進体制加算」の算定状況は、「算定予定」まで含むと、特養で7割、老健で8割、通所介護で5割だった。「データ登録まで終えている」事業所は、上位区分である「科学的介護推進体制加算Ⅱ」を算定している割合が高かった。
一方で、事業者からは入力作業が困難だとして、サポート体制の充実を求める声が相次いだ。
「利用申請する予定はない」としたのはグループホームや小規模多機能で約3割、通所介護で2割などだった。

LIFEは、介護保険事業所のサービス状況データを個々の利用者ごとに厚労省に報告し、事業所は全国平均との対比など国からのフィードバック情報を受けてサービスを見直す仕組み。国からのフィードバック情報は、暫定版の状況が続く。介護事業所に対しては、入力作業の負担軽減に向けた業務支援ソフト等の開発が急がれる。

訪問看護受給者 6年で38万→65万人
事業所は4割増に

在宅医療の進展の中で訪問看護の利用が著しい。2015年~21年までの6年間で、利用者数は38.5万人から65.2万人となり、26.7万人(+69%)増えた。同期間、費用額は81%増の318億円に伸びた。事業所数については、9350事業所から1万3093事業所と40%増えている。

在宅医療は、居宅療養管理指導などとともに、訪問看護と一体で拡大している。一方で、利用者や訪問看護師の確保が難しく、苦戦する訪問看護事業所も少なくない。

介護職員 22年2月~9月
月額9000円賃金アップ

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋座長)は12月8日、21年度補正予算案の成立を受けて、22年2月~9月の間、国の補助金で介護職員1人あたり月額平均9000円相当(収入の3%程度)の引上げを行うことを了承した。22年10月以降も、別途賃上げ効果が継続される取組を行うとしている。保育士、幼稚園教諭、障害福祉職員について同様な給与引き上げを実施する。
介護職員について、対象となる介護保険事業所は、介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所。ただし、事業所の判断で他の職員の処遇改善に充てる柔軟な運用を認めるとしている。対象事業所が都道府県に申請する。
また、看護職員については、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関(救急医療管理加算を算定する救急搬送件数200件/年以上)に勤務する看護職員を対象に、段階的に収入を3%程度引き上げる。そのうち、収入の1%程度(月額4000円)の引上げを22年2月から実施する。看護補助者、理学療法士、作業療法士等の処遇改善に柔軟に充てる運用を認めていく。

介護・看護職員・保育士等の人材確保に介護保険や障害福祉、保育士で実施する処遇改善加算と同等な仕組みを、看護師に拡げることなど、見直しを行う。介護職員の処遇改善加算はこれまでの実績を合計すると、7万5000円相当の引上げになった。
補助金により22年2月~9月の給与引き上げは決まったが、10月以降の対処法が22年予算案の審議を通じて検討される。

介護施設での面会制限 緩和
「双方がワクチン接種か陰性」で対面

厚労省は11月24日、新型コロナ発生やワクチン接種の状況を踏まえて、対面での面会や利用者の外出等の制限緩和を促した。
面会時の留意事項は、「マスクの着用」「手指消毒」「3密回避」などの感染対策に加えて、入所者と家族の双方がワクチン接種済みか、検査が陰性の場合は、管理者が面会時間や回数、場所などを定めて、対面での面会が実施できるとした。
11/22~12/13の3週間でのクラスター発生は、医療施設0件、高齢者施設7件だった(厚労省調べ)

同時に、国はワクチン接種をしていないことを理由に不当な扱いをしないよう留意を求めている。withコロナの状況を見据えて、高齢者施設においても、感染状況に応じたメリハリのある防御対応が必要になっている。

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