介護耳より情報2021年10月号(Vol.145)

編集協力:シルバー産業新聞社

全ての入所者 ベッド離床や座位保持の取り組み 必要
施設「自立支援促進加算」で

厚労省は、6月9日の21年改定Q&A(Vol.10)において、介護保険施設に新設された「自立支援促進加算」について、「寝たきりによる廃用性機能障害を防ぐために、離床、座位保持又は立ち上がりを計画的に支援する」とする支援計画の具体的な取組と離床時間について考え方を示した。
「具体的には、廃用性機能障害は、寝たきり防止の取組にあたり、計画的に行う離床等の支援を一定時間実施することを求めるものである。
したがって、治療のための安静保持など医学的な理由等により、やむを得ずベッド離床や座位保持を行うべきではない場合を除き、原則として、全ての入所者がベッド離床や座位保持を行っていることが必要である」とし、「具体的な離床時間は、高齢者における離床時間と日常生活動作は有意に関連し、離床時間が少ない人ほど日常生活動作の自立度が低い傾向にあるとのデータ等(下記グラフ)を参考に、一定の離床時間を確保すること」とした。
「自立支援促進加算」(300単位/月、人)は、21年改定において、特養・老健・介護医療院を対象に創設された加算で、廃用症候群や寝たきり防止に向け医師が6カ月に1度自立支援の支援計画を策定し、国の科学的介護情報システム「LIFE」に利用者全員のサービス情報を提供し、フィードバック情報を支援計画の見直しに活用することを評価するもの。

離床時間と日常生活動作の障害との関連

※離床時間の長い人ほど日常生活動作の自由度が高い傾向を示している。

要介護状態になっても、ベッドからの離床やトイレの自立が維持できていれば、寝たきりは防げるとされ、21年改定では、離床支援やトイレ誘導などの加算が強化された。
「LIFE」への利用者状況の報告やフィードバック情報の活用を通じて、施設での寝たきりをできる限り防ごうとするねらい。施設介護において、離床や座位保持の取組みが一層求められるようになる。

「限度額7割」&「訪問介護6割」の居宅介護支援事業所
10月からのケアプラン検証

厚労省は7月28日、市町村が10月から国民健康保険団体連合会(国保連)を通じて「区分支給限度基準額の利用割合が7割以上」で、かつ「その利用サービスの6割以上が訪問介護」である居宅介護支援事業所を把握できるようにし、必要と認めた場合に、居宅介護支援事業所に対して、訪問介護が必要な理由の届出を求めることができるとした。国保連が抽出するのは、個別のケアプランではなく、居宅介護支援事業所全体で判定する。
この基準に該当した居宅介護支援事業所は、市町村から求められた場合、利用の妥当性を検討し、ケアプランに訪問介護が必要な理由などを記載して市町村に届けなければならない。これは21年改定の既定事項で、国は今回、区分支給限度額の利用割合と訪問介護の利用割合を示した。
ただし、厚労省は「全てのプランについて理由の記載や届出を求めるものではない。該当したから悪いわけではなく、より利用者の意向や状態像にあった訪問介護の提供につなげることができているかを検証するのが目的」と説明している。
21年改定では、同一のサ高住等の居住者のケアプランについても、「区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い場合に、併設事業所の特定を行いつつ、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行う」とされている。この改定については、今後、国は市町村向けに点検・検証を行うための基準を何らかの形で示す予定。

厚労省は、今回示した基準に該当する事業所数は、居宅介護支援事業所全体の3%とした。
全国で1000超の居宅介護支援事業所が対象となる計算。ちなみに、区分支給限度基準額の平均利用割合は、3割台(要支援2)から6割台(要介護5)で推移している。一方、居宅サービス(費用額4038億円)に占める訪問介護(費用額877億円)の割合は21%(21年4月審査分)。すでにサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなど、行政の監督下にあるもの以外の集合住宅などでの介護サービス状況に対して、行政の網掛けをするねらいがあると思われる。

再就業には「職場の雰囲気」「勤務形態」重視
介護福祉士就労状況 58万人に調査

社会福祉振興・試験センターは7月9日、介護福祉士の就労状況についての調査結果(速報値)を公表した。
調査は昨年11~12月に同年8月時点の有資格者を対象に実施。介護福祉士は58万2319人が回答した(登録者数は175万人)。回答率は40代、50代、60代以上がそれぞれ25%ほどだったが、30代16.8%、20代6.2%と低かった。性別では女性81.3%、男性18.6%の回答率だった。
介護福祉士が他に持つ資格を聞くと、▽訪問介護員37.5%▽介護支援専門員21.7%▽介護福祉士実習指導者20.8%▽▽社会福祉主事11.8――­の順に多く、ほかの資格を持たない人は27.3%だった。
回答者のうち現在、福祉・介護・医療分野で働いている人は76.3%で、その他の分野で働いている人は7.0%、未就労者は13.8%だった。
福祉等分野従事者が、今後仕事をしていく上で最も重視することは「給与や賃金の水準」23.0%、次いで「心身の健康状態の維持」18.2%、「職場の雰囲気や人間関係」18.2%、「やりたい仕事ができる」11.8%だった。
復帰意向のある人が再就業する際に最も重視するのは、「職場の雰囲気や人間関係」21.6%、「勤務形態が選べる」17.6%、「心身の健康状態の維持」14.7%、「育児や介護の支援が得られる」12.2%の順に多く、「給与や賃金の水準」を最重視する人は11.2%だった。

社会福祉振興・試験センターによる初調査。介護福祉士とともに、社会福祉士、精神保健福祉士の資格取得者の就労状況を調べた。調査結果は、潜在介護福祉士の再就業支援の取組みなどにも活かされる。介護人材の確保には、処遇改善とともに、多様で柔軟な働き方を確保することが求められている。

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