排泄介助で心がけたいこと
排泄は人が生活する中で欠かせない生理現象。排泄をサポートする「排泄介助」は、介護の業務でも重要なケアです。ですが介助される側にとって、人の手を借りることに「恥ずかしさ」を感じる人も多いでしょう。相手の気持ちを汲んだうえで、上手に排泄をサポートするポイントを紹介します。
【プライバシーを確保する】
排泄はプライベートな行為のため、介助が必要な時でも相手のプライバシーが確保できるトイレ環境が理想的です。例えば、トイレに手すりがあれば自分で座ることもできて介助する負担も減らせますし、介助される側もプライバシーが確保できます。
【転倒に注意する】
排泄介助している際には転倒する恐れもあります。トイレへの出入りを安全に行い、転倒を防ぐため、ドアを引き戸か外開きにする、段差をなくすなど安心して利用できる環境を作りましょう。排泄の準備中は姿勢が不安定になりがちなので、トイレに座るまで見守ってあげましょう。また、冬はトイレの中と外の温度差が大きいので、普段からトイレの室内を温めておく配慮も必要です。万が一、トイレ中に体調が悪くなることも想定し、あらかじめ呼び鈴やブザーを設置しておくと良いでしょう。
【排泄のサイクルを把握する】
高齢者の認知症の場合、尿意や便意が分かりにくいのですが、そのような時は普段の排泄時間をチェックし、排泄サイクルを把握しておきましょう。そわそわするなど、「もしかして排泄のサインかも…」と思ったら、早めにトイレに誘導してあげましょう。また、高齢者はお腹の筋力も低下しているため便秘になりがちです。朝食後にトイレ習慣をつけておくなど便秘予防にも対処しましょう。
【言葉のかけ方や視線に気をつける】
排泄物の量や臭いに関する話は避けて、介助中は楽しい会話を心がけてください。排泄物を観察することは、体の異常に早く気づける良い面もありますが、本人の自尊心を傷つけないようにさりげなく観察するのが良いでしょう。
【急かしたり責めたりしない】
排泄介助は、サポートする側にとっても、体力や精神的に負担がかかるものですが、急かすことはやめましょう。介助される側も、恥ずかしさや情けなさなど複雑な感情を持っています。本人の感情も汲みとり、自尊心を傷つけないように言葉を選んで話しましょう。
排泄介助の基本的な手順
ここまでは、排泄介助をするうえの心構えについて紹介しました。最後に基本的な排泄介助の手順について解説します。以下の流れで、優しくサポートしてください。
1.トイレに入り、高齢者に手すりをしっかりと握ってもらいます。
2.手すりを握ってもらい立ったまま、介助者は(声をかけてから)後ろからズボンや下着を下ろします。
3.高齢者は利き手で手すりを握り、介助者は前から高齢者の腰を支えながら両足の間に介助者の片足を入れます。
4.おじぎをするようにゆっくりと便座に座ってもらいます。
5.座位が保てる場合は「終わったら呼んでください」と声をかけて介助者は一度退室します
6.排泄が終わるまでドアやカーテンの外で待ちます。(鍵はかけません)
7.排泄が終わった合図があったら介助者が再びトイレに入ります。
8.高齢者に手すりをしっかりと握ってもらい、介助者は腰を支えて少し浮かせ、前から後ろに向けてお尻を拭きます。
9.介助者はズボンや下着を膝のあたりまで上げておきます。手すりを握った状態で、高齢者の腰を抱えて両足を介助者の足で支え、ズボンや下着を上げます。
(終了)
安心して排泄できるようトイレ環境を整えることが第一ですが、介助する人の心構えが最も大切です。本人の意思を尊重しながら必要な介助だけサポートしましょう。将来、自分が介助される側になった時も考え、本人の気持ちにも寄り添ってあげてください。
排泄介助の正しい方法とは?適切な排泄方法の手順とポイントについて解説
2020.07.16