綾戸智恵さんをゲストに、
お互いの在宅介護の経験についてお話しました(2)
第2回:2023/6/25放送
トークテーマ:在宅介護について
トークゲスト:綾戸 智恵さん
【東さん】 | フランスベッドプレゼンツ、そばにいるよ。介護について話そう。今晩は東ちづるです。在宅介護をテーマにしたスペシャル番組フランスベッドプレゼンツ、そばにいるよ。介護について話そうの今夜は2回目です。昨夜はジャズシンガーの綾戸智恵さんをゲストにお迎えしてお母様を在宅介護した経験についてお話をいただきました。今夜はその続編をお送りいたします。 |
---|
「おひとりですごかったですね」って言われるけど、
介護はひとりでやってないって!
【東さん】 | 今夜もジャズシンガーの綾戸智恵さんをゲストにお迎えしてお送りします。智恵さんは、2004年にお母様が脳梗塞で右半身麻痺となりました。その後も大腿骨を骨折して、認知症になって、娘である智恵さんが在宅介護となったわけですけれども、智恵さんの中で一番ここは大変やったわっていうところはどこですか? |
---|---|
【綾戸さん】 | 仕事をしてたんでね。 |
【東さん】 | えぇ。 |
【綾戸さん】 | このやりくりはちょっと大変やったなというのはありますね。 |
【東さん】 | 仕事をセーブしたっていうのは? |
【綾戸さん】 | 休止した時があります。1年ちょっと。 |
【東さん】 | 1年ちょっと。 |
【綾戸さん】 | 間に一回だけね。決まってた仕事があったんで、ビッグバンドで唄いにいったの。 |
【東さん】 | ほー。 |
【綾戸さん】 | それだけです。綾戸さん、おひとりででここまですごかったですねってみんなに言われんねんけど、介護はひとりでやってないって!! |
【東さん】 | それね、よくね、夫婦の美談とか親子の美談にされるんだけれども、決してそんなことないね。 |
【綾戸さん】 | 絶対やってないって!言葉悪いけどな、ウエって吐き出すみたいにする時間もあったで。おばあちゃん寝るやんか、ほな電話すんねん友達に。お母ちゃんな、心にもないで、せやけど、まだ生きてんねん。どこまで生きるんかなぁ、私、先逝くんちゃうかって言うねん。こんなこと絶対言わん、こう気持ち的にね。どない言うてええの? |
【東さん】 | 弱音を吐く。 |
【綾戸さん】 | あ~、吐いた吐いた。 |
【東さん】 | SOSを言う相手がいる、それは・・ |
【綾戸さん】 | そうよ、横にもうお酒置いて飲みながら。 |
【東さん】 | それはお友達? |
【綾戸さん】 | 友達、友達。 |
【東さん】 | あぁー。それが友達であってもいいし、兄弟であってもいいしっていうことですよね。 |
【綾戸さん】 | 何でもいい、何でもいい。腹割れる人。 |
【東さん】 | あとは専門家の方がおうかがいしますよというのもあるし、カウンセラーという立場の方もいらっしゃる。で、そして心に溜まったものをお友達に吐き出す。 |
【綾戸さん】 | そうです、そうです。 |
【東さん】 | 受け止めて~と。うん、とてもつながりが大切。 |
【綾戸さん】 | ああ、大事です。 |
【東さん】 | これほんと、それは介護にならなくても、普段生きてる時もそうですよね。 |
【綾戸さん】 | 絶対! |
【東さん】 | SOSを発信できる居場所があるっていうのは・・あるというか作るですね。 |
【綾戸さん】 | うん。 |
【東さん】 | 自分で作っていく。 |
【綾戸さん】 | そう! |
あんな強かった母が弱音を吐くという変化を見た時に、
前ほどの体力がないんやと思って対処しました。
【東さん】 | 介護をしていての喜びは? |
---|---|
【綾戸さん】 | やっぱり私が来た時にいちばん喜ぶこっちゃね。自慢したり、うちの娘言うて、おばあちゃんが言うねん。そしてやっぱり自慢してくれるんやと思って、皆さん、こんにちはとか言うて。 |
【東さん】 | 娘さんのこと分からなくなる時はなかった? |
【綾戸さん】 | ありました。 |
【東さん】 | ありました? |
【綾戸さん】 | うん、お母ちゃんって言われたことある。ちゃいまんねんって言いました。 |
【東さん】 | ちゃいまんねんってあの動作付きでね。 |
【綾戸さん】 | うん。 |
【東さん】 | ある意味開き直りですね。諦めというか。 |
【綾戸さん】 | 現実、諦めではないね。現実来たもの。 |
【東さん】 | 現実を受け入れる。 |
【綾戸さん】 | う~ん、どう言えばいいのかな。ずっと一人ぼっちじゃなくて、色々な言葉を全部ちゃんと受け入れられたかね。 |
【東さん】 | 振り返ってああすればよかった。こうした方が良かったみたいなこともありますか? |
【綾戸さん】 | 一個もない。 |
【東さん】 | あっ、一個もない! |
【綾戸さん】 | うん、あぁやってこうやってきたからここにあるから、一個もない。 |
【東さん】 | 凄い! |
【綾戸さん】 | え、いやだって失敗したんかて、おばあちゃん、あの時こうせえへんかったら怪我せんかったのにとかはあるけど。 |
【東さん】 | うん。 |
【綾戸さん】 | そんなもん言うてたら・・神さんに怒られるわ。 |
【東さん】 | ふ~ん。 |
【綾戸さん】 | で、変えられへんことやんか。台風来来月にしてくれって言われへん。 |
【東さん】 | お母さんが弱音を吐くことはありませんでしたか? |
【綾戸さん】 | しょっちゅうでした。 |
【東さん】 | その時はどう対応しましたか? |
【綾戸さん】 | あぁやっぱりあんな強かった母が弱音を吐くという変化を見た時に、前ほどの体力がないんやと思って対処しましたね。 |
【東さん】 | どういう言葉をかけました? |
【綾戸さん】 | 一緒になって文句を言いました。 |
【東さん】 | 一緒になって文句を言った? |
【綾戸さん】 | あいつがな、こうやってな、もうどないしょ私って言ったら。ほんまですな~。親に分からんことなんで私に分かりまんねんな。一緒に考えまひょか言うたら、よっしゃ任せなさいって言わはった。 |
【東さん】 | なるほど。私の夫がね、寝たきりになった時に彼はこの姿を人に見せたくないって言ったんですよ。 私と母にしか会わなかったの2年間。で、2年経った時に、えいやーと私、友達をブワーと送り込んだんですよ。 ブワーっと行ってと言って、堀っていうんですけど。堀ちゃん!って言ったらすごい彼はびっくりするんだけれども、仕方ないから喋るわけですよね。そしたら、あれ?結構僕平気だった。 |
【綾戸さん】 | せやから、頭と現実とちゃうから経験することは認知症になってからもありますよ。 |
人と一緒に生きてるいうことを考えんといかんよ。
ひとりで生きてると思ったらあかんよ。
【東さん】 | じゃ最後にね。これから介護をするかもしれないみなさんに一言お願いします。 |
---|---|
【綾戸さん】 | もうね、人生はね、来るもんは来ますんでね。心配もせんとそんなに怖い準備はもう何もいらん。ただ、その時にやっぱり人と一緒に生きてるいうことを考えんといかんよ。ひとりで生きてると思ったらあかんよ。この人に言うたら怒られるやろとかないから。 |
【東さん】 | そうですね。 |
【綾戸さん】 | 言うだけのことを助けてもらうように。 |
【東さん】 | はい、ありがとうございました。 |
【綾戸さん】 | おおきに! |
-
認知症の在宅介護について専門家の先生にお話をお伺いしました。
スペシャルインタビュー
医療法人社団 至髙会 たかせクリニック
理事長 髙瀬 義昌さん
番組について
日本は高齢化が進み、2025年には高齢化率は30パーセントを超えると言われています。
また、その頃には認知症患者の数も700万人に達し、高齢者の5人に1人が認知症という社会になると予想されています。
在宅介護は、今後、ますます増えていくことが確実であり、誰にでも身近な問題です。
この番組では、在宅介護をテーマに、介護経験のあるMCがゲストを迎え、
お互いの在宅介護の経験についてお話をいただきます。