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在宅医療の現状と今後について知りたい

令和3年度の総務省の調査によると、日本における高齢者の割合は、世界最多の29.1%となっています。そんな中、高齢者における医療の形態も多様化しており、国は在宅医療を推進しています。そこで、ここでは在宅医療の現状と今後について解説します。

在宅医療は住まいで往診・治療を受けられる

在宅医療とは、日常生活を営んでいる住居に医師が訪れ、医療行為をおこなうことです。住居とは、自宅以外に老人ホームのような高齢者施設も含みます。高齢者以外に重度の障害者など、自宅や施設から外出することが難しい患者さんにも、在宅医療のニーズがあります。これまでの日本において在宅医療は一般的ではなく、先進国の中でも低い水準でした。それを示すデータの1つが死亡した場所に関するデータです。日本では死亡時に病院にいた割合は81%ですが、オランダやスウェーデンでは35〜45%程度となっています。海外では「最期まで自宅で医療サービスを受ける」という選択肢があるのです。

【訪問介護や訪問看護とは何が違う?】

「ヘルパーや看護師が自宅に来てくれる」という方は多いでしょう。在宅医療は訪問介護や訪問看護とは明確に違う部分があります。それは、医師が自ら赴いて診断をしてくれることです。また、従来の往診では「診察はしてくれるが治療は病院に行かなければならない」というケースがほとんどでした。在宅医療ならば、治療に必要な設備を自宅に用意してあるため、治療も自宅で受けることができるという魅力があります。

在宅医療でQOL(Quality of Life)を高めることに期待

平均寿命が非常に長い日本。この長い平均寿命は高度な医療技術や医療制度に裏打ちされたものです。その一方で日本の医療は延命治療に重きが置かれているため、本人や家族への負担を増やし、必ずしも幸福とはいえない状況が発生することもありました。今後、増えるであろう在宅医療では、患者さんのQOL(Quality of Life)を上げることが重視されます。自宅にいながら適切な医療行為を受けることにより、患者さんの日常を極力変えずに自分らしい毎日を過ごすことが可能になります。大きな負担になる通院がなくなることで、付き添いの家族の負担も減ることでしょう。

在宅医療における課題とは

病院への通院がなくなることは付き添いの家族にとってメリットになるでしょう。その一方で、患者さんが在宅で過ごすことにより、日常的な世話をする家族の負担が増えてしまうという課題はあります。今後は訪問看護、訪問介護などを含めた他業種が連携することによって、患者さんと家族の支援をしていく体制の強化が求められています。

以上、在宅医療の現状と今後について見てきました。今後も増え続けるであろう在宅医療。患者さんはもちろんのこと、その家族も支援していく体制こそが重要なポイントとなります。

2023.07.12更新