よくあるご質問

介助者が行う準備・心構えについて

Q.

安全に食事介助を行うポイントとは?

高齢の方によっては食事をする際に手伝いが必要な場合があります。自力で食事が上手く摂れない人のために、サポートするのが食事介助者の役割です。ここでは、高齢の方が安全に楽しく食事が摂れるよう、食事介助をするためのポイントを紹介します。

食事をする際の高齢者の特徴

高齢になると加齢に伴い全身の筋力が低下することにより、食事をする際にも上手く食べ物を飲みこめなかったり、噛みにくくなったりします。高齢者の食事にまつわる特徴は以下の通りです。

・ 顎の力、歯の不具合などにより噛む力が弱くなる
・ 味覚を感じとる力が弱くなり濃い味付けを好むようになる
・ 唾液の分泌量が若い頃に比べて減るため飲みこむ力が弱くなる
・ 年齢を重ねるごとにのどの渇きを感じる「口渇中枢」が減少してしまい、渇きに鈍くなる
・ 高齢になると消化器官が衰え、食欲不振になりやすくなる

このような特徴があるというのを分かった上で、介助者は高齢者の食事をサポートするようにしましょう。

食事介助ポイントについて

高齢者の食事介助で気を付けたいのが、食物や唾液などが気管に入ってしまう誤嚥です。誤嚥を起こすと食物や唾液に含まれた細菌が体内に入り込み、誤嚥性肺炎になってしまうこともあるため細心の注意が必要となります。高齢者が安全にストレスなく食事を摂れるようにするためにも、食事介助は以下のポイントを知っておきましょう。

【正しい姿勢で食事をしよう】

誤嚥を起こさないためにも、食事を摂る際の姿勢が大切です。自力で座る姿勢を保てる場合(椅子や車いす)は、しっかり足を床に付けてもらい、少し前傾姿勢になってもらいます。必要であれば、頭や背中、腰の部分などにクッションを入れて正しい姿勢を維持できるようにサポートしましょう。自力では座った姿勢を保てない場合は、ベッドや椅子の角度を、その人の適切な角度(30〜90度の間)に設定し、クッションで調節して体を安定させてください。顎を引いた状態を維持するためには、後頭部にタオルやクッションなどを用いて安定させるのがおすすめです。

【口腔内を清潔にしよう】

口腔内が汚れていると、食べ物や飲み物などと一緒に雑菌が体内に入り込んでしまい誤嚥性肺炎になるリスクが高まります。食事を摂る前に、歯磨きをしたり、うがいをしたりすることで汚れを洗い出して口の中を清潔にしておくことが大切です。口の中を清潔にすることで、味覚を感じやすくなりますし、唾液の分泌も活性化されて食べ物を飲みこみやすくなるというメリットもあります。また、高齢になると唾液の分泌量が減少するため、口の中が乾きやすくなります。口の中が渇いた状態で食物を摂ると誤嚥を起こす可能性が高まるので、最初に水分補給を済ませて口の中を湿らせてから食事を開始しましょう。

【食事前の声かけをしよう】

どんなに正しい姿勢にしたり、口の中を清潔にしても、意識がしっかりしていなければ誤嚥したり、食べ物をのどに詰まらせてしまいます。当たり前のことではあるものの、食事をする前には、必ず高齢者の名前を呼んだり、声をかけたりして意識がしっかりあるかを確認しましょう。また、これから食事を摂るということを高齢者自身に認識してもらうために、今から口にする食べ物や献立などを説明することで、お互いに安心して食事ができ、事故も防ぎやすくなります。

【介助者の立ち位置に気を付けよう】

高齢者が食事をする際に、介助者は座って同じ視点になるように食事介助を行うのが基本です。対面に座った状態でも食事介助はできますが、人によっては見張られているような気分になってしまうこともあるため、落ち着けるように横に座ってあげるのが良いでしょう。この際、食事介助を行う高齢者の体に片麻痺や後遺症があるようであれば、負担にならない側に座って介助してください。

【食事にかける時間をゆっくりもとう】

高齢になると食事を摂るペースが遅くなります。ひとつひとつの食べ物を飲み込むのに時間がかかり、なかなか食事が終わらないことが多いのですが、介助者は慌てずに高齢者のペースに合わせるよう心がけてください。介助者が急かしてしまうと、誤嚥のリスクも高まります。そうしたことを防ぐためにも、食事介助をする際は慌ただしくなる時間は避けて、ゆっくり楽しく食事ができる時間を作ってあげましょう。

高齢の方が安全に楽しく食事をするためにも食事介助は欠かせません。人間にとって毎日の食事は生きる上で大切なことなので、今回紹介した食事介助のポイントを参考にして介助する方はしっかりとサポートをしてあげましょう。

2020.07.16