介護用品について

Q.

会話ができるぬいぐるみのコミュニケーション効果とは

昨今は、高齢者の方に向けて会話ができるぬいぐるみが販売されています。元々、子供向けのおもちゃとして簡単な会話機能を持ったぬいぐるみは存在していましたが、近年は認知症のケアや予防目的で会話ができるぬいぐるみが登場しています。このぬいぐるみ、または人形を利用した治療法を人形療法(ドールセラピー)と呼び、治療を受ける人に応じて利用されるぬいぐるみも様々です。

会話ができるぬいぐるみを使用するメリット

【会話することで脳の活性化につながる】

高齢者に限らず、人間は他人と会話をすると脳が刺激され、不安感やストレスの軽減につながります。この他人とのコミュニケーションは、高齢者が患いやすい認知症の予防にも効果が期待されているほどです。反対に、交流が少なくなると脳への刺激が少なくなります。脳を使うことが少なくなった結果、認知症を患う可能性も高くなるでしょう。とはいえ、コミュニケーションに不慣れな人の場合、能動的に他人と会話をするのは難しいことかもしれません。そんな時に、会話ができるぬいぐるみを使えば、高齢者の方が疑似的にコミュニケーションをとることができ、脳細胞を活性化と認知症の予防に役立ちます。また、ぬいぐるみによって、ご近所さんや施設の入居者同士で話すきっかけができれば、現実的なコミュニケーションの機会も増えることでしょう。

【寂しさを解消できる】

家族がいない高齢者ほど、孤独感や寂しさに苛まれやすく、行動力や生きる気力を失いがちです。そんな時に、そばに会話ができるぬいぐるみがあれば、孤独感を癒して生きる気力を取り戻しやすくなるでしょう。孤独の寂しさを癒す方法としては、犬や猫を飼って世話をするという治療法(アニマルセラピー)も存在しますが、ペットの飼育環境が必要となり、高齢者の住宅事情や経済力によっては難しいというデメリットがあります。そんな動物を飼えない環境で暮らす高齢者にとっては、会話ができるぬいぐるみがペットの代わりとなってくれることでしょう。

実際に販売されている、会話ができるぬいぐるみや人形の商品紹介(2023年4月現在)

【なでなでワンちゃん・なでなでねこちゃん】

なでなでワンちゃん HACHI(ハチ)」は、犬を家で飼えない方のために作られたペット型コミュニケーションロボットです。内部にセンサーが内蔵され、背中やしっぽなど撫でる位置によって違う声で鳴くほか、声を掛けてあげることで、反応を返してくれる特徴があります。また、「なでなでワンちゃん HACHI(ハチ)」の姉妹品として猫を模した「なでなでねこちゃん ST2 くろちゃん」も販売されているので、猫派の方はこちらを選んでも良いでしょう。

【泣き笑いたあたん】

泣き笑いたあたんは、フランスベッド株式会社が販売している認知症向け赤ちゃん型コミュニケーションロボットです。本物の赤ちゃんの声をサンプリングしており、手足に触れることで泣いたり笑ったりする機能が搭載されています。高齢者の「お世話してあげたい」といった感情や行動を促します。泣き笑い
たあたんの詳しい製品情報は、こちらをご参照ください。

ぬいぐるみや人形を使用する際の注意点

かわいがっていた犬や猫が亡くなってしまった時に、精神的なショックから心の病や身体的な病気を患ってしまう人は少なくありません。この症状を「ペットロス症候群」と呼びますが、ぬいぐるみが無くなってしまった時のショックは、大事にしていた方にとってはペットロスに匹敵するものでしょう。

そのため、会話ができるぬいぐるみや人形を使用する時は、無くしたり壊したりしてしまわないように注意してください。万が一壊してしまった時に備えて、メーカーや販売店で修理ができるかどうかを調べておきましょう。また、ぬいぐるみの修理方法を確認する以外にも、無くしてしまった時のために、同じものを複数購入しておくのも良い方法です。

2023.07.12更新