在宅介護について髙瀬先生にお伺いしました(1)
髙瀬 義昌先生(医療法人社団 至髙会 たかせクリニック)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。麻酔科、小児科を経て、以来、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。 現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。
在宅介護は必要になったら
まずは地域包括支援センターへ相談
【東さん】 | それではここで在宅介護についての専門家の解説をお送りします。お話いただくのは、東京都大田区の医療法人社団至髙会 たかせクリニック理事長の髙瀬義昌さんです。よろしくお願いいたします。 |
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【髙瀬さん】 | よろしくお願いいたします。私は身体的な問題や認知機能の低下などで、病院に通院できない方を中心に訪問診療を中心とするクリニックを東京の大田区で開業して20年ほどになっています。 |
【東さん】 | はい。 |
【髙瀬さん】 | 患者さんのほとんどは80歳以上で、私はおうちの方への訪問、あるいは施設に訪問する形で、患者さんのお宅や介護施設を24時間365日体制で回っています。 |
【東さん】 | う~ん、もうフルで回転しているということですね。 |
【東さん】 | 在宅介護ってね。私の場合もそうなんですけれども、さあ、いよいよ来るなっていうよりは、あれ?これってもしかしてあたし在宅介護してるってこと?ていう突然やってくるって感じだったんですよね。 |
【髙瀬さん】 | はい。 |
【東さん】 | で、あれ?誰に相談すればよかったんだろうっていう。相談はどこにすればいいんですか? |
【髙瀬さん】 | 地域包括支援センターというのが全国各地にあります。 |
【東さん】 | はい。 |
【髙瀬さん】 | お住まいのところの行政区でお聞きになればご紹介いただけると思います。後、(在宅介護に)役に立つ資料もいっぱい置いてあることも多いので、そういうのをいただいてくるのもいいかもしれないですね。 |
【東さん】 | はい。 |
介護保険制度をしっかり活用。
地域全体でみんなの力を借りましょう。
【髙瀬さん】 | 介護保険制度が2000年にできあがったわけなんですけれども、家族が担ってきた介護を社会全体で支えることを目的に創設されまして、私がクリニックを開業した約20年前に比べても在宅介護を支える介護サービスは充実してきていると言っていいと思います。 |
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【東さん】 | 介護保険制度。これは活用した方がいいですよね。 |
【髙瀬さん】 | 絶対活用しないと損ですね。 |
【東さん】 | ねぇ。 |
【髙瀬さん】 | 介護しなきゃいけないなと思った瞬間に先ほどお話しした地域包括支援センターにね、介護保険の申請の仕方。もちろん、市区町村の役所でも良いんですけど、そういうところでお尋ねいただいて書類を記入していただいて届けると同時に主治医意見書っていうのが介護度を決める大きなポイントになっています。 |
【東さん】 | はい、そうですね。 |
【髙瀬さん】 | ですから、もし物忘れとかある場合はそれを隠すんじゃなくて主治医の先生にちゃんと言った方が介護度がちょっと高く出る場合があります。介護度が高く出れば今度は車椅子や、後、結構大事なのは介護ベッドですね。介護ベッドをきちっと選ぶことが。 |
【東さん】 | ベッド大事。 |
【髙瀬さん】 | そうなんです、床ずれができないようにとか、後ベッドの高さが合わせられる上手に調節できると転倒したりとか、そういう危険が少なくなる。 |
【東さん】 | だから症状のある人も介護する側にとっても大事ですよね。 |
【髙瀬さん】 | 転倒とかを予防できるので、そこがポイントの一つになりますよね。 |
【東さん】 | そうですね。生活環境を整えていく、便利にしていく自由度が広がるということで、介護保険は便利な制度なので、私たちは上手に使っていきたいですよね。 |
【髙瀬さん】 | 是非。おうちで介護する体制が整っているか、水回りとかお風呂とか、それからスペースですね。 |
【東さん】 | 車椅子が通ったりとか。介助をしながら二人一緒に歩けるかとか。 |
【髙瀬さん】 | そうですね、後は広さ。 |
【東さん】 | 車椅子って本当に数センチもでもね。 |
【髙瀬さん】 | そうなんですよ。 |
【東さん】 | ちょっとガタンってなったりね。 |
【髙瀬さん】 | ちょっとしたことでひっくり返っちゃったり。 |
【東さん】 | そうですね。 |
【髙瀬さん】 | 危ないこともあるので、そういうのをケアマネジャー、在宅支援専門医を選ぶ時にじっくりとよく相談するっていうことが大事かなと。 |
【髙瀬さん】 | 介護支援専門医、ケアマネジャーの方や主治医、訪問看護師、最近は薬局でもそういう相談を受けてくれる場合がありますから。 |
【東さん】 | そうなんですか、薬剤師の方に? |
【髙瀬さん】 | そうですね。健康サポート薬局っていうのが全国的にはちょっとずつ。 |
【東さん】 | それは健康サポート薬局っていう風にうたってるんですか。 |
【髙瀬さん】 | そうですね、色々ご相談しながらご本人とご家族を中心としたチームを作るっていうのがポイントになりますね。で、とにかくご家族だけで介護するのではなくて、地域全体でその方を支えていくという視点を忘れないことと、些細なことでも相談しましょう。介護されてる方も介護を受ける方も どちらも大事にしながら続けていくっていうのがコツだと思います。 |
【東さん】 | そうです。是非SOSも発信して弱音も吐いて、いろんな人の力を借りて。 |
【髙瀬さん】 | はい、全部我慢しちゃうとやっぱり辛くなっちゃうので。 |
【東さん】 | そうですね。何か我慢しなきゃと思いがち、守んなきゃと思ってるから介護される側の方をね。そうですね、一人では抱え込まないでくださいということですね。ありがとうございました。 |
番組について
日本は高齢化が進み、2025年には高齢化率は30パーセントを超えると言われています。
また、その頃には認知症患者の数も700万人に達し、高齢者の5人に1人が認知症という社会になると予想されています。
在宅介護は、今後、ますます増えていくことが確実であり、誰にでも身近な問題です。
この番組では、在宅介護をテーマに、介護経験のあるMCがゲストを迎え、
お互いの在宅介護の経験についてお話をいただきます。