介護・医療制度について

Q.

介護予防サービスとは?

介護予防サービスとは、なるべく介護を必要とせず、地域や自宅で自立した生活が送れるよう、早期に予防対策を行うサービスです。健康を維持するために、介護が必要な状態にならないように予防することは大切ですが、どのように対策を取れば良いのでしょうか。介護予防の具体的なサービス内容と、サービスを受けるまでの流れを紹介します。

介護予防とは

介護予防とは、65歳以上の高齢者が要介護者(介護を必要とする人)になるのを未然に防ぐこと、または要介護の方の状態が悪化しないよう、その改善を目的としたサポートのことです。具体的には次のようなサポートを行います。

・食生活の見直しと改善
・運動能力低下の防止(体操・リハビリテーションの実施)
・口腔機能の向上(物を食べる・会話をする・豊かな顔の表情をつくる等のケア)

介護予防は、あくまでも要介護者となるのを未然に防ぐか、あるいは要介護の状態悪化の改善を目的としているため、介護予防サービスが受けられる対象者を、自立している健康な高齢者または要支援1~2の高齢者としています。サービスを受けるにあたっては、事前に地域包括支援センター(地域住民の保健・福祉・介護予防等のマネジメントを行う施設)に在籍している介護支援相談員(ケアマネージャー)に相談します。現在の状況を確認した上でケアプラン(介護予防サービス計画)を作成してもらい、そのケアプランに基づいたプログラムで進められます。また、介護予防サービスにも、目的や内容によって「介護予防サービス」、「地域密着型介護予防サービス」、「地域支援型の予防サービス」の3つに分類されています。

【介護予防サービス】

介護予防サービスは、住み慣れた地域の中で、自立した生活を続けるための支援です。できるだけ自力で生活できる訓練を行うので、基本的には在宅での生活支援が中心となります。

●利用対象者
要支援認定1~2の高齢者

●利用方法
・地域包括支援センターに在籍するケアマネージャーに現在の状況を相談します。
・相談内容を基にケアマネージャーが介護予防サービス計画(ケアプラン)を作成します。
・ケアプランに基づいてサービスを受けます。

●受けられる主なサービス内容
・ 介護予防通所介護(デイサービス)
日帰りのデイサービスセンターに通い、日常生活に必要な、食事・入浴・排泄などの介助を受けます。ほかに、身体機能の向上を目的とした、軽度な体操やレクリエーションを行います。

・ 介護予防通所リハビリテーション
自宅で自立した生活が送れる身体機能を維持できるよう、理学療法や作業療法を用いたリハビリテーションを受けます。主に病院や介護老人保健施設に通って、筋力の維持、関節拘縮(こうしゅく)予防や歩行訓練を行います。

・ 介護予防訪問介護
高齢者の自宅をホームヘルパーが訪問し、食事や入浴・排泄のサポート、掃除、洗濯、調理などサポートを行います。高齢者の残存能力(残っている機能を使って発揮できる可能性のある能力)に応じて、できる限り自宅で自立した生活が送れるように生活支援を行います。

【地域密着型介護予防サービス】

地域密着型介護予防サービスは、その名の通り、指定された地域に住んでいる高齢者が受けられるサービスで、地域や自宅で自立した生活が継続できるサポートを実施しています。

●利用対象者
要支援認定1~2の高齢者で指定された地域内に住んでいる方

●利用方法
上記で紹介した「介護予防サービス」と同様

●受けられる主なサービス内容
・ 介護予防小規模多機能型居宅介護
基本的には、日帰りの通所での介護が中心となりますが、利用者の身体状況や、本人あるいはご家族の希望に応じて、訪問介護や短期的な入所などを組み合わせた介護サービスを提供します。具体的には、食事・入浴・排泄の介助、掃除、洗濯、調理のサポートや、日々の健康管理に関するアドバイスも行います。

(2)介護予防認知症対応型通所介護
日帰りのデイサービスセンター等で、軽度の認知症の高齢者に対して、食事・入浴・排泄サポートや、身体機能の向上を目的としたリハビリテーション、毎日の健康管理や生活に関わるアドバイスを行います。
(3)介護予防認知症対応型共同生活介護
自宅にいるような環境で、自立した生活が送れるよう、5~9名位が共同生活できる施設で、食事・入浴・排泄介助などを行います。介護予防認知症対応型共同生活介護が受けられるのは、要支援2の方のみとなります。

【地域支援型サービス】

地域支援型サービスは、要介護認定を受けていない健康な高齢者、または要支援1~2の高齢者の方を対象とします。将来的に介護を必要としない、あるいは介護支援を減らして自立した生活が続けられることを目的としています。地域支援型予防サービスには、利用者別に種類が分かれており、65歳以上全ての高齢者が受けられる「介護予防一般高齢者施策」と、要支援や要介護になる可能性が高い方を対象とした「介護予防特定高齢者施策」の2種類があります。それぞれのサービスが受けられるまでの流れを紹介します。

●地域支援型サービスを受けるまでの流れ
・市町村が行う基本健康診査を申込みます。
・基本健診に行き「介護予防の生活機能評価」を受けます。
・健康審査結果に基づき、健診担当医が「介護予防の必要度」の判定をします。
・市町村が、健診担当医の総合判定の結果等を踏まえて、(1)介護予防一般高齢者、(2)介護予防特定高齢者に該当するかを判断します。
・認定後は(1)と(2)において、それぞれの介護予防サービスが受けられます。

●(1)介護予防一般高齢者が受けられるサービスの内容
・介護予防に関するパンフレット等による情報の享受
・健康づくりのための活動(軽体操、太極拳、ストレッチ、ウォーキング、ヨガ等)

●(2)介護予防特定高齢者が受けられるサービスの内容
・通所型介助予防(地域の公民館などに通って受ける介護予防サービス)
・訪問型介護予防(通所できない場合の自宅訪問する介護予防サービス)
※(2)を受けるには、地域包括支援センターに相談し「介護予防ケアプラン」を作成してもらう必要があります。(無料)

今回は、介護予防サービスの内容について紹介しました。これからも健康を維持するために、介護が必要でも軽度なうちに改善しておくために、予防することは大切です。まずは早めに地域包括支援センターへ相談してみてはいかがでしょうか。

2023.07.12更新