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リスク管理のために導入した
進化したベッドが
介護負担の軽減・
介護人材不足の緩和に

【社会福祉法人緑愛会 あたご苑での活用事例】

介護人材不足の解決策は、人を補充することだけではありません。人の確保が難しい場合は、職員の負担を軽減する介護機器を導入することで、新たに人を雇用したのと同様の効果を得ることもできます。その好例として、東京都あきる野市の特養老人ホームあたご苑(社会福祉法人緑愛会)様をご紹介します。

写真:特養老人ホームあたご苑

午前中の介護力が足りない

東京の奥座敷といわれるあきる野市。豊かな自然環境と広大な用地に恵まれたこの地域は、高齢者介護施設のメッカで、特養だけで60近い施設が集中しています。当然、地域の限られた労働力をたくさんの施設が必要となり、どの施設も慢性的な介護人材不足に頭を悩ませています。特養あたご苑(定員100名。軽費老人ホームを併設)もその一つです。

「ハローワーク、ホームページ、折込みチラシなどで常時募集していますが、なかなか人は集まりません。結果、本来なら月4回程度の夜勤を月6〜7回お願いするなど、正規の介護職員の負担が大きくなっています」(大原俊之情報室室長)

どの時間に、どの介護現場で最も人手が足りなくなるのか。介護室室長の阿部豊志也さん曰く、「午前中の介護力が足りません。職員が入浴介助に割かれるからです。例えば朝9時の段階でワンフロアに介護職員が4人いたとして、そのうち2人はお風呂にとられる。結果、フロアに残る2人で30人余りの入居者をみることになります」。

写真:大原 俊之 情報室室長
大原 俊之 情報室室長
写真:阿部 豊志也 介護室室長
阿部 豊志也 介護室室長

館内を全面リニューアル

写真:増田 俊一 施設長(理事)
増田 俊一 施設長(理事)

あたご苑では、4年前に現施設長が就任したのを機に、施設運営の根本から見直しが行なわれ、ハード・ソフトともに大幅な改革が行なわれました。もちろんその中には、介護人材不足という永遠の課題解決への取り組みも含まれています。さまざまな業界で経歴を重ね、介護業界は新参者という増田俊一施設長(理事)は語ります。

「介護業界には特異なところが多々見受けられます。一番おかしいと思ったのは、膨大な人件費の支出に比べ、その他の設備投資が極めて少ないことです。つまり介護はすべて人まかせ、職員と入居者が1対1でやるんだという古い考え方がしみついている。すべてにおいて、もっと科学的な運営に転換しなければならないと考えました」。

手始めに老朽化した建物を一新すべく全館大規模改修に着手。玄関、居室、廊下、職員室、食堂と、館内を全面リニューアルしていきました。その結果、介護職員の働く場である館内はどこも新しく明るくなり、職員は快適な環境の中で介護に集中できるようになりました。

転倒リスクはベッドが知らせる

あたご苑には、介護施設には珍しい「情報室」という部署があります。その目的は、増田施設長のいう“科学的な施設運営”の実現にあります。人の問題もすべて現場の実データをもとに解決しようという考え方から、採用実務も情報室が担っています。

「情報室の役割は、介護現場から幅広くデータを収集・分析し、それをもとに職員の精神・肉体両面の負担軽減の方法を探ることがひとつ。もう一つは、施設運営における最重要課題であるところのリスク管理を、科学的データに基づいて実現することにあります」(増田施設長)。
具体的には、ケアマネジャー、看護師、介護福祉士など、さまざまな現場の話を聞くことで問題点や課題を抽出し、それらの情報を一元化することで、あたご苑に今必要なものは何かを洗い出したのです。その結果、判明したことが2点ありました。

「施設内で起きた重大事故のうち、約3割が転倒による打撲や骨折でした。職員は常に転倒のリスクを恐れており、特に介護職員の手が足りない午前中や夜間などは、担当者のかなりのプレッシャーとなっていました」(大原情報室長)

人を増やしたくても増やせない状況の中、どうやってこの転倒リスクを回避するか──増田施設長が出した答えが、転倒リスク対応型の新型ベッドの導入でした。

写真:超・超低床フロアーベッドFLB-04

平成29年6月、ベッドの高さを11cmまで下げられるフランスベッドの『超・超低床ベッド』を一気に18台導入。今日では、重大事故の発生件数は導入前より7割近く減りました。

「職員の目の届かないところでベッドを離れたとしても、決して大ケガにならない。特に、認知症症状がある人には有効で、いつ落ちるかわからないという心理的不安から解放されました」。

さらに平成30年2月には、ベッドに内蔵したセンサーが入居者の離床や不在を検知する『見守りケアシステムM-2』を9台導入。徘徊リスクの高い人の部屋に設置し、介護室のモニターから状況を把握できるようにしました。このように、積極果敢な設備投資を行なうことによって、特に夜勤時の職員の負担を大幅に軽減することができました。

写真:見守りケアシステムM-2

夜勤帯の体位変換もベッドまかせ

情報室のデータ解析によって浮彫りにされたもう一つの課題は、「褥瘡(じょくそう)」がなくならないことでした。褥瘡は栄養状態の悪さなどから発生するものもありますが、体位変換や体圧分散が十分に行われていないケースに多く発生します。それが人手不足もしくは介護力の欠如から起きるとしたら大問題です。褥瘡防止のための体位変換は、特に夜勤帯の介護職にとって重労働となります。

「自力で寝返りを打てない人のために、夜勤の職員は2時間に1回、体位変換を行ないます。深夜ですから1人ですべてやるわけで、精神的にも肉体的にも大きな負担となっていました」(阿部介護室長)。

写真:自動寝返り支援ベッド

ここでも進化したベッドが大きな役割を果たしました。昨年9月、あたご苑は自動的に体位変換を行なうことができる『自動寝返り支援ベッド』を5台導入。介護職の負担を、一部ですが軽減することができました。

「より体重の重い人、介助が大変な人を選別して使っています。3階には2台入れ、20時までは手動モード、以降は自動モードで朝5時まで作動させています」(阿部介護室長)

自動寝返り支援ベッドは夜勤職員の負担を軽減させただけでなく、入居者にも非常に好評だそうです。「ベッドが動いている感じがせず、介護士が体位変換するときのように起こされることがない」といいます。

「介護職が足りない中でどうやって褥瘡を防ぐか」を常に考えていた増田施設長にとっても、自動寝返り支援というベッドの出現は心強かったと言います。今日では褥瘡はゼロに抑えられているそう。

このようにあたご苑の場合、進化した3種類のベッドが介護の負担軽減に貢献することができました。介護ベッドは、介護人材不足の解消の活路となることが期待されています。

写真:介護の様子
「見守りケアシステム M-2」を導入してから重大事故も減ったそう

超・超低床フロアーベッドFLB-04

特徴

  • 1. 床板面高さ110ミリを実現し、誤ってベッドから転落した場合のリスクを軽減します。
  • 2. 500ミリのハイローストロークで、車いすなどへの移乗が安全でスムースに行えます。
  • 3. 背上げ・脚上げ・高さ調整が可能です。
  • 4. 移動に便利なワンタッチで出し入れができる格納式キャスタータイプもご用意。
  • 5. リフトやベッドテーブルもお使いいただけます。

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見守りケアシステム M-2

特徴

  • 1. 選べる5つの通知モード。ベッド上の動きをお知らせします。
    • 動き出しモード
    • 起上がりモード
    • 端座位モード
    • 離床モード
    • 離床管理モード
  • 2. らくらく簡単設定 液晶手元コントローラ
  • 3. アラーム履歴表示
  • 4. 自動見守り再開機能
  • 5. 体重測定機能

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自動寝返り支援ベッド FB-640

特徴

  • 1. 身体を動かすことが困難な方の寝返りを支援し、腰痛など介護者の身体的負担を軽減
  • 2. 角度や時間、速度などを細かく設定可能な自動運転の寝返りサポート機能(タイマー設定可)
  • 3. 用途に合わせて、背上げ・脚上げ・高さ調節が可能
  • 4. 脱着可能なヘッドボードとフットボード
  • 5. ワンステップでロックと解除が可能なキャスター

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